小説

小説の定義 ~あとがきにかえて~

この『残酷な世界に生きる天使』は、私の7つ目の作品である。

一般的に作者は自身の作品について、深くを語らないのが基本的な姿勢であると言われている。小説の説明はしない。太宰治や村上春樹だって似たようなことを言っていた。

気持ちは分かる。とても分かる。説明は作品に対する自由な解釈を狭める行為だからだ。解釈は読者に委ねられている。

しかし、私はそれに従おうとは思わない。小説は説明しないものだ、という価値観も自由な解釈を縛りつけているからだ。

そんな訳で、あとがきにかえて私が考える小説の定義を記す。小説とは、喩えるならばこうだ。

「夜、目的地に向かって歩いている。街灯に照らされた整えられた道を歩きながら、空を見上げる。真っ暗である。途中で街灯が途切れ、前方がおぼろげになる。空を見上げると星が見える」