あとで後悔する
なんであのときあんな発言をしてしまったんだろう。
こんなふうに自分を責めてしまうあなたはとても想像力が豊かだ。
あれこれと想像(妄想)をして、あらゆるパターンを考え、気分が落ち込むほど鮮明にイメージできるのだから。自身はこのことをネガティブに捉えているケースが多いけれど、視点を変えればそれはある意味では特技だ。
予期不安という考え方
予期不安という言葉を知っているだろうか。
心配性の人は予測される不安を全て想像してしまい、そして勝手に心配を募らせて、不安になってしまう。この思考パターンを予期不安という。
この予期不安は認知バイアスの一種だ。
バイアスは歪み。
実際にはそこまで深刻に悩む必要がないことでも、天地がひっくり返るように悩んでしまう。事実と頭の中の考えに大きなギャップがあるのだ。これが認知バイアス(認知の歪み)だ。
認知の歪みにはまらないコツ
認知バイアスに陥らないようにする思考方法がいくつかあるので紹介する。
- 中間をみよう
物事をみるときには、良いか悪いかというような相反する考えに偏らず、その間(灰色/グラデーション)にも着目してみよう。 - 他の視点からもみよう
あなたの知っている人が、思いやりに欠ける行動をとったとき、「あの人は思いやりのない人だな」と考えるかもしれない。しかし本当にそうだろうか。その人は偶然そのときだけ、そのような行動をとった可能性もある。一部だけをみて全体を評価するのは控えよう。 - 全体をみよう
一部の否定的な意見だけを聞いて、全部を否定されていると考えてはいけない。否定の対象はあくまで一部の意見であり、全体の意見ではない。ましてやあなたではない。他の意見を聞いてみると、肯定的な意見もあるかもしれない。全体をみて判断すること。 - ポジティブな意見を素直に聞こう
あなたが否定的に考えていることに対して、周りから肯定的な評価をもらったとき、素直に受け入れること。ありがとうと感謝の気持ちを伝えよう。 - 相手の気持ちをネガティブに想像しない
根拠もないのに、相手から嫌われていると想像するのはやめよう。あなたに相手の心を読む技術はない。過信しないように。 - 未来に対する否定的な予測を鵜呑みにしない
世界、日本の未来を否定的に予測する人がいる。その情報の裏に、しっかりとした根拠はあるだろうか。人は否定的・悲観的な情報に吸い寄せられやすい。しっかりと事実確認をして、その情報の精度の高さをみてみよう。 - 将来の否定的な可能性はあくまでも可能性
予測できる可能性を事前に考えておくことは、突発的な対応力が高まるのでやっておいて損はない。だが、悲観的な予測をあたかも現実に起こったことのように考えるのはやめよう。それは現実になっていない。それが起こったらどう対処するのかということに力を入れること。 - 肯定的な物事をしっかりとみる
ポジティブな出来事、経験を大切にすること。ネガティブな物事で頭をいっぱいにしてはいけない。人生にはもちろん嫌なこともあるけれど、幸せなこと、楽しいこと、感動することがある。だから人生はやめられない。 - 事実と感情を混同しない
あなたが悲しみを覚えているその出来事は、それ相応の出来事なのだろうか。実際はあなたが思っているよりも、深刻じゃないかもしれない。複数の視点からその出来事をみて、正確に出来事を捉えること。 - 「〜すべき」という考え方を捨てる
私は母親なのだから、こうすべきであると考える人がいる。すべき、しなければならないというのは、あくまでも個人や社会的な価値観である。その価値観はあなたを縛り付けるものではない。勝手に想像している使命を自身に義務付け、苦しくなるのはやめよう。 - 一部の行為で全体はみれない
一つの失敗で自分はダメなやつだと思うのは時期早々である。特定の出来事だけで、人は判断できない。あなたの行動の全てを客観的に評価してはじめて判断できる。その評価基準の設定も難しい。いずれにせよ、一部の失敗に引き寄せられてはいけない。事実をしっかりと捉えること。 - 原因はあなたではない
物事は複数の要因から成り立っている。上司が怒っているのは、あなたの失敗だけが原因ではない。家庭でのネガティブな出来事と偶然に重なったのかもしれない。あなたという一部の原因が全てを反映していると考えるのはやめよう。
まとめ
こうやって思いつくものを書き出してみると、自分も上記のような思考パターンになっていることに気付く。なんとなく一部だけを見て、しかも詳細な事実確認もせずに、「はぁー」とため息をついて落ち込んでいる。まあそれも人間らしくていいとは思うけれど。
生きていれば当たり前だが色んなことが起きる。しかもその出来事は複雑に絡み合っていて、紐解いて確認するのは大変だ。だから脳はエネルギーを節約するために、すぐに結論を出そうとする。簡易的な思考を我々に求めてくる。そうやって認知バイアスが起きる。認知バイアスにハマらないためには、しっかりと腰を据えて考えることが大事だ。ポイントは全体を総合的にみること、事実に基づく解釈をすることである。
僕自身も、落ち込んだ時にこの記事を読んでみようと思う。認知バイアスは絶対に起きてしまう。そのように脳ができている。でも少しぐらいそれに抗ってみようと思う。