思いつき

この世にどうでもいいことなんて無いと思うよ

どうでもいいの。全部どうでもいいから、自分で決められないの

漫画『鬼滅の刃』の7巻の冒頭にこんなセリフが出てくる。
どうでもいいの。全部どうでもいいから、自分で決められないの
鬼殺隊の一人、栗花落カナヲ(つゆり・かなを)のセリフである。
彼女が一人で決断することはない。
誰かの指示を受けるか、それがなければコイン投げの裏表で自身の次の言動を決めている。

僕はこのセリフを読んで、全てでは無いものの、共感を覚えた。
全部とは言わないが、世の中にはどうでもいいことが多いと思うから。

物事の距離が自分から離れているほど、「どうでもいい」のレベルは上がっていく。
逆に身近なことのほとんどは、どうでもよくない、重要な物事だ。

例えば、自分がどこに住むか、どこで働くか、誰と一緒にいるかは重要なことで、逆に知らない人がどこに住んで、どこで働いて、誰と一緒にいるかはそれほど重要ではない。

世界で起こっている全ての物事を考えることはできないのだから、ある程度優先順位をつけて自分にとって重要なことから検討していく。

優先順位すら付けなかった物事は、基本的にどうでもいいことなのだ。

この世にどうでもいいことなんて無いと思うよ

しかし主人公の炭治郎は彼女にこんなふうに投げかける。
この世にどうでもいいことなんて無いと思うよ
僕はこのセリフを読んでハッとした。

主観的には、ほとんどの物事はどうでもいいことだ。
しかし、客観的に見れば、どうでもいいことは一つも無い。
誰かがどうでもいいと思っていることが、もしかすると誰かの重要なことかもしれないのだ。

僕がどうでもいいと思って、決断を曖昧にすれば、誰かが困るかもしれないし、逆に誰かが不適切な判断をして僕が困っていることがあるかもしれない。

例えば、ゴミなんてどうでもいいと思っている人が、公園にゴミを放り出せば、公園は汚くなっていく。
でもその公園を大切にしている人にとっては、公園が綺麗であることが重要なことなのだ。

環境問題についても同様のことが言える。
森林伐採や二酸化炭素の排出だって同じ原理だ。

環境なんてどうでもいいと思っている企業は、利益を上げることが重要だから、環境を無視して事業を行うが、環境が悪くなると多くの人が悪影響を受ける。

だから、全てをどうでもいいと思っている人間は、何も決断していないのにも関わらず、結果的に誰かにとって不都合な決断をしている可能性がある。

どうでもいいという思想は、一見誰にも迷惑をかけていないように思えるが、知らぬ間に他の人に悪い影響を与えているかもしれない。

人は社会的な動物で助け合って生きている。

この世にどうでもいいことなんて一つもない。
一つひとつの選択を迫られたとき、自身の利害だけを考えるのではなく、総合的な視点で検討し、決断を下すこと。
これが僕たちに求められていることなのだ。

参考文献

『鬼滅の刃 7』吾峠呼世晴 著