権力者は正しい判断ができない?
ここ1年くらい、国や自治体の対応について意見を言う人が増えたような気がする。
メディアは毎日のように新型コロナウイルスの感染者数、そして国や自治体の対応を報道するようになった。
その報道を多くの人がチェックし、評価している。
権力を持つと多くの物事に影響を与えることができるようになる。
だから人は権力者の動向をみて、正しい判断ができているか評価する。
そして大体はこんなふうに言う。
「全然現場のことわかっていない!」
上の人は下の人のことをわかってくれない、というわけだ。
僕も同じ気持ちになったことはたくさんある。
いくつかの組織に所属したけど、どこでも共通してそんな愚痴がこぼれていた。
なぜか権力者は現場の人の気持ちを察することができない。
周りから認められた優秀な人が権力を持っているはずなのに……。
多忙では現実が見えない
権力者が正しい判断ができない理由は2つあると思う。
1つ目は利害関係者が多いこと。
2つ目は多忙だから。
まず1つ目の利害関係者の件から。
当たり前だが、権力者は多くの物事の最終判断を任せられている。
だから、必然的に利害関係者が増える。
利害関係者が増えるとどうなるのだろうか。
何かを決めるとき、Aさんには「右がいい」と言われ、Bさんには「左がいい」と言われる。
権力を維持したい権力者は、どちらの意見にも耳を傾け中間を取る。
そしてこう決断を下す。
「真ん中にしましょう」
全員が納得する解決策は存在しないのである。
(そして対立が生まれる)
次に2つ目の多忙であるということ。
権力者はとても忙しい。多忙を極めている。
全ての物事に対して正確に判断する必要があるのにも関わらず、迅速に判断をするように迫られ疲弊している。
脳は基本的に一つの物事に集中できるように作られてる。
マルチタスクでは、腰を据えてじっくりと検討を重ねることができない。
果たして、そのような状態で正しい判断ができるだろうか。
おそらく難しいだろう。
現実を捉えるためには、注視する必要がある。
物事を注視するには多くの時間が必要だ。
空に浮かんでいる雲をみたり、風の音に耳を傾けるような余裕を持たなければ、真実を見ることはできないだろう。
そんな余裕を持った権力者は、たぶん存在しないのである。